女殺しイジメ地獄 楽園崩壊 について
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女殺しイジメ地獄 楽園崩壊 とは?

出版社:竹書房
発売日:2015/12/18
作者 :伊東爾子

容姿に恵まれ、両親に可愛がられ、未来は輝いていた…はずだった。

どうして?いったいなぜ?こんなことになるなんてあの時は思ってもいなかった…


女殺しイジメ地獄 楽園崩壊 のネタバレと結末

リオは生まれつき美しい容姿で、
両親からも周りの人間からも特別扱いされて育った。


二つ下の妹のミサキは地味で大人しいタイプだった。


リオの可愛さはモデルにスカウトされるくらいだった。


母はリオと
“誰が見ても特別な存在とわかる”
といって
父は
“華がある”
とたたえた。


リオはどこに行っても特別扱いされるため、
“誰より優遇されるのは当然”
と思って育っていく。


中学生になるとますます奇麗になり、
男子生徒から告白されることもよくあった。


女子生徒たちに人気の優等生の男子の高木が、
リオに声をかけてくる。


リオは
“OKしてやるからさっさと告白しろ”
と思っていたが
高木はリオではなくエミという女子が好きな様子でリオにエミの連絡先を知らないか聞いてくる。


リオはプライドを傷つけられてその場から立ち去る。


後日
エミが高木の告白を断ったことを知り、
リオのプライドはさらに傷つく。


リオはエミに対して壮絶な虐めを開始する。


エミから借りたノートを切り裂いて返したり、
女子トイレで複数人で暴行を加えたりした。


リオは軽い気持ちで
“自分が一番だということをわからせたかった”
と思っていた。


エミはリオからの虐めに耐えられなくなり、
自殺未遂をする。


未遂と聞いたリオは
“あのくらいで死のうなんてバカじゃないの”
と反省していない様子。


エミの遺書にリオからの虐めの記述があり、
学校側はリオの母を呼び出すが母は断固として認めなかった。


母親は
“人権侵害で訴える”
と強引に揉みつぶす。


エミは退院したが
学校には戻ることができなかった。


リオは
“ウザイのがいなくなって良かった”
と言っている。


しかし
他の生徒たちのリオに対する不信感は募っていた。


“母親が乗り込んで完全否定した”


“エミが可哀そう”

という空気になっていた。


しばらくすると
リオの家に脅迫の電話と怪文書が大量に届くようになる。


不特定多数の人物が
リオのエミへの虐めを知っている様子だった。


ネットにはリオの実名と虐めの主犯格だったこと、
父の勤務先の情報が書き込まれていた。


リオは
“エミが腹いせにやっている”
と思う。


ネットの声は
“みんなでリオの一家に制裁を加えよう”
と一致団結していた。


父の会社にも大量の電話や手紙が届くようになり、
父は左遷されてしまう。


父は出世頭だったため、
左遷を嘆いていた。


リオが全く反省しておらず
“引っ越すのは平気、むしろ助かる”
という。


父はリオの無神経な発言に激怒し、
“母の教育が悪い”
と母に当たり散らす。


父は会社を辞めると言って、
母に離婚を迫る。


母は
“こんな時こそ子供を守るのが親”
というが
父は
“このままだとリオを憎んでしまう”
というのを聞いて離婚に同意する。


リオは母が引き取り、
妹のミサキは慕っていた父方の祖母と一緒に暮らすことになる。


父は一人暮らしで
母とリオは母の実家へ行くことになる。


実家は既に叔父夫婦のモノになっており、
リオと母は肩身が狭かった。


リオは姓を変え転校して新生活に期待していた。


転校先でもすぐに
“可愛い”
と話題になる。


しかし
すぐに前の学校でのいじめがバレて、
全校に知れ渡ることになる。


リオはネットの情報が更新されていたことに気付く。


実家にも怪文書や電話が届き、
叔父夫婦は激怒してリオと母を追い出す。


リオと母はアパート暮らしとなる。


母は
“何があっても絶対リオを守る”
という。


母は生活を支えるために、
昼夜問わず働くようになる。


もともと裕福な家庭で、
パートに慣れていなかったため疲れ果てていた。


引っ越したアパートにも怪文書と電話は届いていた。


母は
“もっと遠くへ行かないとダメなのかな…”
と悩んでいると
リオは
“別の土地へ行くなら高校は私立に行きたい”
と明るい表情で軽い感じでいう。


母はその表情を見て何かを決意する。


ある日
母は仕事から帰ってこなかった。


リオは勤務先へ行くと
辞職したことを告げられる。


仕事場の人達の話によると、
職場の男と一緒に逃げたのではないかという。


リオは母に捨てられたことに気付く。


伯父に拒否されたため、
リオは施設に行くことになる。


施設にもリオに対する怪文書や電話が届く。


リオは自分が移動するたびに、
すぐにネットの情報が更新されるのだと認識する。


自分を追いつめるために、
複数の人間が動いているのだと思う。


中学卒業と同時に
施設を飛び出して夜の街で働かざるを得なくなる。


年齢を18歳と偽り雇ってもらう。


そこは複雑な経歴の人間のたまり場だった。


覚せい剤中毒の刑務所帰り、
夫のDVから逃げてきた人など、
リオの経歴は珍しくなかった。


待機室ではコンパニオンたちが揉めることはよくあった。


リオの若さに気付いた仕事仲間は
“こういうところに染まらないうちに出ていった方がいい”
という。


リオの寮にはやはり怪文書が届いていた。


リオは
“どこに行っても無駄”
と思い酒浸りになる。


ちょっと優しい言葉をかけてきた男に身体を許し、
薬漬けにされてしまい金を貢ぐことになる。


リオは高校生といって、
売春で稼ぐことにする。


薬のせいでどんどんやつれていく。


同じ年代くらいの女子大生を見て、
“どうして自分はこうなった”
と絶望し
“全部ママのせいだ”
と思う。


リオが中学を出てから5年が経った。


明け方にアパートの帰ると
妹のミサキが部屋の前にいた。


ミサキの訪問にリオは喜び
“キレイになててわかんなかった”
といって部屋にあげる。


リオの部屋はゴミが散乱していた。


ゴミの中には怪文書もあった。


リオは
“たぶんエミの仕業”
というが
ミサキは
“違うよ、私だよ”
とあっけらかんとした表情でいう。


ネットの情報を更新していたのはミサキだと判明する。


リオは絶望して
“なんで?”
というと
ミサキは今までの溜まりに溜まった思いを話し出す。


ミサキは
“あんたが大嫌いだから”
という。


小さいころから両親はリオにしか興味がなく、
ミサキは寂しかった。


リオがエミを自殺未遂に追い込んだときも、
関係のないミサキまで学校で虐められるようになる。


ミサキは
“あんたは自分のことしか頭にないから知らなかった”
という。


ミサキの強い口調にリオは圧倒されている。


両親の離婚に対しても
ミサキは
“どうでもいい
 唯一私を気にかけていた
 おばあちゃんのところに
 早く行きたかった”
という。


ミサキは大学入学が決まっており、
卒業したら彼氏と結婚する予定なのだという。


ミサキはリオの境遇を嘲笑い
“美人が台無しだよ?”
と皮肉る。


ミサキは
“大嫌いだけど
 お姉ちゃんのことは
 ずっと見ている
 どこに行っても”
と笑顔で言って去っていった。


リオは
“人の気持ちを考えていなかった”
ことを痛感し後悔する。


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女殺しイジメ地獄 楽園崩壊 の感想

“好きの反対は嫌いではなく無関心”
という言葉を思い出しました。


ミサキが感じていたのはこのことでしょうね。


読者の意識からも妹のミサキを排除するためか、
最初の三ページからラストまでほぼ出番はありません。


読者的にもエミだといかにもすぎるので、
うすうす予測できたところですね。


リオは清々しいほど自己中心的です。


一人っ子で育ってこうなるのは理解できますが、
妹がいるのにこうなったということはよほど親の教育が悪かったのでしょうね。


両親がミサキに全く興味を示さなかったことが伺えます。


姉妹でありながら
実質的には一人っ子の
“お姫様”
としてリオは育ったようです。


それでも結局は
血筋なのかもしれません。


父は自分の出世がダメになったため、
“リオを憎んでしまう”
という理由でリオを捨てています。


結局娘のリオよりも、
自分の人生の仕事で積み上げた事の方が大事ということですよね。


母もリオを捨てて男と逃げています。


すぐに一緒に逃げる程の男ができるわけがないので、
そういうときのために男を作っておいたのかもしれません。


母も
“絶対にリオを守って見せる”
という決意をあっけなく翻しています。


リオは、
自分大好きな両親の血を濃く受け継いだようです。


リオの性格が腐りきってしまったのは、
両親の血筋と教育が大部分を占めているでしょうね。





ラストシーンは爽快感抜群のぶっちゃけトークでした。


ここだけ切り取ってみると
ミサキの方がいじめっ子のようです。


ここまで読んでいると
ミサキの行動を咎めることができませんね。


ミサキのリオへ対する報復行動は褒められたモノではありませんが、
理不尽な想いをした人間誰もが夢見るシチュエーションです。


ミサキもリオが憔悴しきるのを待っていたのかもしれません。


リオが元気なうちにネタバラシをすると、
残ったエネルギーを使ってリオから復讐される可能性があります。


ミサキは
“充分弱らせたから大丈夫!”
と思いぶっちゃけたようです。


リオのラストの様子から、
ミサキへ復讐する元気はなさそうです。


リア充になれるハズの人間が爆死した胸がスカッとする話でした。


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