片想いの牢獄で について
無料で読む方法、あらすじとネタバレ、感想を紹介します!


以下の4つの短編が収録されています
・光のさすへや
・運命のひと
・くれぐれ
・割れ鍋にスカート


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片想いの牢獄で とは?

掲載誌:JL:Blue Label
作者 :ミズタマ
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受験ノイローゼの兄に性的虐待を受け続ける女子中学生。

自堕落な父母に強要され、その身を傷つけ続ける女子高生。

妻子持ちの男と知りながら、禁断の不倫に身を焦がすOL。

母親の狂った教育で「女」を否定され、されど「女」に育った身体に思い悩むOL。

――想えど届かず、想えど叶わず。

行き場なき片想いに囚われた毎日を過ごす、女性たちの物語。

一切の妥協なく描き抉り出される、ひとのこころのあるがままを…!


片想いの牢獄で 「光のさすへや」のネタバレ

ヒナコは中学生だった。


兄も同じ中学で受験期で勉強をしている。


兄とヒナコは同じ部屋で
兄は
“休憩する”
といってはヒナコの体に触っていた。


父は単身赴任中だった。


母に心配をかけたくないため、
ヒナコは兄に身体を触られても無視して我慢していた。


兄の行為がエスカレートしそうになると
“お兄ちゃんがコーヒー欲しいって”
と母を大声で呼んでいた。


ヒナコは兄を嫌悪しており
身体を触られた後は気晴らしに愛犬のソラと散歩に行っていた。


ヒナコは兄の指図でテニス部に入っていた。


兄の目的はテニス部の楠という美少女だった。


兄はヒナコに楠と仲良くなってもらい、
家に連れ込んでもらう算段を立てていた。


楠はヒナコのテニスの上達を素直に褒めるいい先輩だった。


ヒナコが教室に行くと
クラスの出入り口にに見かけない生徒がいた。


保健室の教員に付き添われており
教室に入るのを躊躇っている。


生徒は小日向といって
始業式から学校に来ていなかった。


友人によると以前は元気だったという。


ヒナコは小日向を
“なんかズルい”
と思う。






自宅で兄はヒナコに楠とのことを尋ねると、
進展がないことを知り激高して暴力を振るう。


ヒナコはソラと散歩に行く。


頭部の怪我のせいでヒナコが休憩中に
ソラはどこかに行ってしまう。


慌ててソラを探していると
誰かがソラのリードを持っていた。


ヒナコが涙を流したまま
“すみません、うちの犬なんです”
と話しかけると
“汚い顔だな”
と言われる。


ヒナコがソラを抱いて喜んでいると
“ありがとうは?”
と言われるのでお礼を言うと
小日向であることに気付く。


ヒナコは
“私の事知らないよね、わたしは朝倉”
と自己紹介すると
小日向は走って帰ってしまう。





翌日
ヒナコは担任に小日向の住所を聞いて、
ソラを連れてお礼を言いに行く。


小日向はアパートの一室だが
ソラも入っていいという。


家の中はゴミ袋だらけで
小日向は
“茶なんかださない”
という。


小日向はソラを撫でようとするが
ソラはそっぽを向く。


ヒナコによると
柴犬は警戒心が強く2回会ったくらいでは無理だという。


小日向は
“決めた、礼。そいつを俺が触れるようになるまでうちに連れてこい”
という。


ヒナコはソラの散歩で小日向の家に行くと、
小日向はチーズを用意していた。


ソラはチーズが嫌いだったため
他に用意していたサラミなども試してみる。






兄は成績が落ちてきたストレスをヒナコにぶつける。


ヒナコは楠に
“今度、家に来てくれませんか”
と持ち掛ける。


ヒナコはソラを小日向の家に連れていくと、
小日向はソラに不自然な笑みを向ける。


ソラはそっぽを向くと
小日向は
“ダメじゃないか”
という。


ヒナコは
“犬は人間の表情をちゃんと読む。心を開いてもらうには笑いかけるのがいい”
という。


小日向はソラの体毛の飛び出た部分を引っ張ると
簡単に抜けたがソラは怒って見せる。


ヒナコはこの時期は抜け毛が多いという。


抜け毛で部屋を汚してもらうのを申し訳なさそうにしていると
小日向は
“別にいい、親いないし”
と家庭環境の事を話し出す。


父は亡くなっており
母は他の男の所に行っているという。


しかし
月に何度か金を持ってきてはいるという。


“あの女はあの女で生きていくのに必死”
と小日向は母を責めてはいない。


ヒナコが気まずそうに俯くので
小日向は電気を消してプラネタリウムのおもちゃを動かして見せる。


ヒナコは
“きれい”
というと
それは母が持ってきたという。


小日向は
“これ見てると父さんの田舎で見た星空を思い出す”
という。


ヒナコは誰にも言えなかった自分のことを
“友達の話”
と前置きして話し出す。


その子は家に居場所がなく
兄に性的虐待と暴力を振るわれているという。


父は単身赴任で
どうしたらいいのかわからないという。


小日向は
“行くとこないならウチに来たらって言っといて。茶はだせないけど”
という。






ヒナコは兄の命令通り楠を連れて家に帰ろうとするが
“急用が入ってしまって”
と思いとどまる。


家に帰ると予想通り兄は激怒して暴力を振るう。


ヒナコは強気に
“レイプ犯の手伝いなんてできない、自分で何とかして”
というと
兄はヒナコの反抗に言葉が詰まる。


ヒナコは
“殴れば?お父さんに全部いうから”
という。


兄は捨て台詞を吐いて部屋を出ていく。


ヒナコは
“やっといえた”
と思っていると
ソラの悲鳴が聞こえてくる。


兄は
“お前が脅したからやり返してやった、二度と逆らうんじゃない”
というと
ヒナコは側にあったフライパンを手に取り兄に殴り掛かる。





ヒナコはフライパンを持ったまま
錯乱気味に小日向の家のドアを叩いて
“ごめん、ソラを守れなかった”
と泣いている。


兄はヒナコの後を追ってきており
“やるなら中途半端にやるんじゃない、一撃で仕留める気でこい。じゃないと何倍にもしてやり返す”
というので、
小日向は
“コレでアイツを殴ればいいんだな”
とヒナコのフライパンを受け取る。


“やれるハズない”
とタカをくくっていた兄は慌てて
“人生詰むぞ”
というが
小日向は
“とっくに詰んでる。むしろ「妹に性的虐待してる兄を倒す俺」になって一気にヒーローになれるんじゃね?”
と躊躇なく兄に襲い掛かる。





ソラは前足を少し傷つけただけだった。


小日向はソラの軽傷をみて安心する。


引っ越しの準備中に
小日向はヒナコにプラネタリウムをあげる。


ヒナコは抱っこしているソラを差し出すと
小日向は頭を撫でることができた。


小日向は
“ソラ、元気でな。ギリセーフだったな”
と自然な笑顔を見せる。





兄は
“階段から落ちた”
という名目で入院している。


母は
“兄は期待ハズレ”
と妹のヒナコに受験の期待をするが
ヒナコは
“私ばかだからN高校にはいけない”
とハッキリという。


ヒナコは自室にソラを連れ込み
電気を消してプラネタリウムをつける。


部屋に映し出されて奇麗な星空を眺めて
“ありがとう”
と呟く。


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片想いの牢獄で 「運命のひと」のネタバレ

航平はコンビニの店長をしている。


バイトの舞子のことを
“運命の人”
だと思っていた。


オーナーも航平が舞子を気に入っていることを察しており、
二人の仲を応援している。


舞子も航平に親切にされると
頬を赤らめている。


航平には付き合っている彼女がいるが、
“めんどくさい”
と思い気持は冷めていた。


航平がコンビニに出勤すると
舞子が父親らしき男と店前でモメていた。


父親は典型的なダメ人間のようで
舞子に金をせびっている。


舞子が金をくれないとみると
母親にたかろうとしている。


舞子は仕方なく有り金を地面に投げつける。


父は
“生意気な口ききやがって”
と舞子の胸を軽く触ってから金を拾って去っていく。


航平はその日の仕事終わりに
いつも通りに自腹でドリンクをあげる。


舞子は
“何度もいただけない”
というが
“接客頑張ってくれたから”
と言われて受け取る。


オーナーが航平のために使用していないゲーム機を持ってくると、
航平は大喜びする。


オーナーは気を利かせてすぐに帰る。


航平は舞子と二人きりになり
“一緒にゲームしない”
と誘う。


舞子のアパートに行くと
ゲームそっちのけで二人は寄り添う。


お互いの気持ちを察しあうと
航平は舞子にキスをする。


航平が舞子の服を脱がそうとすると
舞子は自分で脱ぐという。


上半身裸になると
舞子は恥ずかしそうに腕で胸を隠している。


恥じらう舞子をみて
航平は
“はじめて?”
と聞くと
舞子は恥ずかしそうに頷く。


航平は舞子と父のやり取りを思い出し咄嗟に
“嘘だ、だってあの時お父さんに…”
というと
舞子の表情から色が消えて
“なんで…”
という。


航平は気まずくなり
“やめよう、ごめん”
と謝り抱き着く。


航平の帰り際に舞子は
“また来てくださいね”
というが
航平は
“来ないかな”
という。


舞子が泣いていると母が奥から出てきて
“下手だね、正直に答えてビビるに決まってんだろ。泣いても金は入ってこない”
という。


翌日から
舞子は晃平から飲み物を貰わなくなる。


それから数日間
舞子は風邪で欠勤する。


航平は心配になり舞子の部屋を訪れると
セーラー服で眼帯をした舞子が
“何のようですか?”
と不愛想に出迎える。


航平は
“この間の事謝りたい、実は彼女いる…。向うと別れてから君とちゃんと付き合いたい”
というが
舞子は
“手垢がついた女なら手を出していいと思った?”
と嘲笑する。


“ワルモノになり切れなかった?小悪党”

“ホント小せえ、ワザワザ家までくんなよ”

“キモいんだよ、消えろよ”

と立て続けに罵る。


航平は怖気づいて走って帰る。


舞子は航平が帰ったあと夢を見ていた。


夢の中では
航平と舞子が幸せそうに手を繋いで一緒に歩いている。


舞子は
“家の事情”
でコンビニを退職する。





数年後
航平は彼女と結婚して男の子が生まれる。


妻が掃除中に古いゲーム機が出てくる。


“捨てていい?”
と聞かれて
航平は
“うん。もういらないから”
と寂しそうな笑顔でこたえる。


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片想いの牢獄で 「くれぐれ」のネタバレ

川野は職場で
“未来の嫁が現れないかな”
とボヤいていた。


同僚からは
“あざといし他力本願”
と呆れられている。


川野は会社に就職した時から
先輩社員の月島のことが好きだった。


しかし
特に何もできずにいた。


クリスマスの日に
月島が川野の上司と不倫している現場を目撃してしまう。


川野は凍り付いていると
月島は川野に気付く。


川野は逃げ出すと
月島が追ってきて
“誰にも言わないで、何でもするから”
と懇願する。


川野はDVDを借りたばかりなので
“DVDを観たい”
といったら二人でラブホテルに入ることになる。


月島の誘導だった。


川野は不倫のいきさつを聞くと
仕事を褒められたのをきっかけに止まらなくなったという。


川野は
“自分の役割”
を察する。


“不倫の口止め料として体を要求する男”
の役割を月島の思惑通りまっとうする。


川野は
“嫁は現れなかったけどいい思いできた”
というと
月島は
“内緒にしててよ?お願いだから”
と念を押す。


川野は
“二年間何も動かなかったツケにしては安いほうかな”
と思う。


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片想いの牢獄で 「割れ鍋にスカート」のネタバレ

夏帆は男が苦手だった。


満員電車では男と密着してえ毎日吐きそうになっていた。


夏帆自身は男らしいとも女らしいともいえない服装をしている。


遅くなって部屋に帰ると
管理人が料理を持ってきてくれて世話を焼いてくれる。


管理人は
“女の子がこんな遅く帰ってくるから心配”
というが
夏帆は
“こんな遅く男性が部屋にいるのは危なくないの?”
という。


管理人は見た目はキレイな女性だが性別は男性のらしかった。


夏帆は職場の同僚から
“心はコレで満たしてよ”
とBL雑誌を貰っていた。


仕事の打ち合わせだと男性と話すが、
仕事だと平気だった。






夏帆は小さいころは可愛い女の子の恰好をしていた。


夏帆の母はよく男に騙されて
その愚痴を夏帆に言っていた。


“その女酷いでしょう”
と強引に夏帆に同意を求めていた。


夏帆はボーイッシュは服装をすることになる。


母は
“オトコって酷いの、オトコなんて必要な生き方をしようね”
と夏帆に同意を求めてきていた。


夏帆はそれ以来
男女ともどっちともつかない格好をするようになる。


夏帆が自室で管理人にそのことを打ち明けていると、
管理人は夏帆が職場で貰った同人誌に喰いつく。


お礼に可愛らしいワンピースを持ってきていた。


夏帆は翌日
着ていく服が無くて仕方なくワンピースを着る。


仕事の打ち合わせで、
男性に言い寄られる。


夏帆は自宅に帰り服を脱ぎ
“こんなの着るんじゃなかった”

“女に見られた”
事を後悔していた。


夏帆はそれからその人と仕事で会わないように
打ち合わせを同僚に代わってもらっていた。


その人は夏帆のアパートで待ち伏せしており
“返事を聞かせてもらえませんか?”
というと
夏帆は怖くなる。


管理人が割って入ってきて
“良かったら上がって行ってください”
と夏帆の部屋の前まで案内する。


出入り口からは部屋の中に錯乱する大量のごみ袋が見えている。


男は
“急用ではないので”
と帰っていった。


管理人は心配していたが
夏帆は
“あの人は感じのいい人”
と自分に責任があったことを伝える。


管理人は
“君がズボンでもスカートでも君は愛される。女の子でいいんだ”
という。


夏帆は照れて
“もしかして私のこと好きなんですか?”
というと
“それはナイ”
と即答される。


管理人は
“あなたは自分の事で精いっぱいで魅力的とは言えない”
といってまずは朝のゴミ出しをちゃんとするように指摘する。


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片想いの牢獄で の感想

「光のさすへや」は母親が諸悪の根源でしょうか…?


まず、
中学生の兄と妹が同じ部屋ってのがあり得ないですね。


受験期でピリピリするのは当然です。


母親は教育熱心なようなので
そのくらいは察してあげて欲しいです。


兄は冴えないタイプだけど
ヒナコは可愛い方のようです。


兄はそれを察しており
自分のコンプレックスをヒナコにぶつけているように見えます。


兄は自分の学校の教室内では
ヒエラルキーの下の方なのが伺えます。


そのうっぷんを受験で良い高校に行って晴らそうと思っているけど、
思ったように成績が伸び悩んでいるのでしょう。


その分の鬱憤を
血のつながった妹のヒナコに甘えているのだと思います。


大人しいと思っていたヒナコの反抗にビビッて、
犬のソラに八つ当たりしているあたりでガチクズなのが伺えます。


小日向のファインプレー以外では
ヒナコを救うすべはなかったと思います。


このまま放置されたら
ヒナコは最後まで犯られてしまうのは時間の問題でしょうね…


小日向は引っ越してしまいましたが、
小日向に勇気をもらったヒナコなら今後は自力で兄を撃退できると思います。


自分の立ち位置を充分に理解した小日向の勇敢な行動には爽快感がありました。


自分の事をちゃんと見つめることができるのはかなりの勇気が要るハズです。


小日向がそれができるようになったのは
ヒナコとソラのおかげでもあると思います。


“ヒナコとソラを守れるのは自分しかいない”
と思っい行動した小日向は
ヒナコの目にはカッコよく映ったでしょうね。


お互いを必要として出会ったけれど、
離れ離れになってしまうラストは切なかったです。






「運命のひと」はいい感じで航平にとって一生忘れられない黒歴史になりそうです。


大人しめで可愛いと思っていた舞子が実は…


人間誰でも
“自分の見たいモノ”
しか見ないように無意識に防衛本能が働きますよね。


航平は舞子に対して
“運命の人”
として天使のような印象を持っていたと思います。


舞子は女子高生でまだ若いので
航平が“舞子像”を自分の中で神格化してしまうのは仕方ないと思います。


そんな舞子の本当の姿を知り、
ビビッて帰ってしまった後に取り繕うと再度訪れたら物凄い罵られ方をして…


必要以上の罵りは
舞子なりの航平に対する優しさなのかもしれません。


あれだけ汚く罵られたら誰でも心が折れますよね。


舞子は航平に対し
“私の事を好きでいてくれるけど、全部を受け入れる度量は無い”
という印象を持ったのだと思います。


舞子の両親は両方クズのようなので、
あの両親と親族になるには相当の覚悟が必要だと思います。


舞子自身も実の父から性的虐待を受けていたようですし、
並大抵の度量では受け止められないでしょうね。


舞子は航平を罵りましたが、
その直後に
“航平と付き合っている様子”
を夢見ていたのが悲しいです。


舞子の
“こういうルートもあったかも…だけどそれは永遠に閉ざされてしまった”
という想いが伝わってきました。


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