女の業火 娘婿とできた母 について
無料で読む方法、あらすじとネタバレ、感想を紹介します!
以下の短編が収録されています
・女の業火~娘婿とできた母~
・幸せの天秤
・パンドラの箱
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女の業火~娘婿とできた母~とは?
出版社:ぶんか社
発売日:2017/4/27
作者 :北上 祐帆
「60女が恋するなんて、バカだと笑ってください。
でも、バカを平気でするのが恋でしょう!?」。
雪深い秋田から届いた実体験を漫画化した表題作「女の業火~娘婿とできた母~」。
主人公・松江は、夫に先立たれ、母が事故で死に、息子を病気で失った未亡人。
たったひとりの家族である長女と家を守るためにずっと働いてきた。
そんな中、娘に持ち込まれた縁談。
やってきた娘婿が松江の中に燻っていた愛されたい願望に火をつけた! 娘婿との秘密の愛の行く末とは!? このほか、結婚相手が億万長者と養子縁組して結婚生活が様変わりした女性の衝撃体験を作品化した「幸せの天秤」、我が子を姑に取られ、家族中から馬鹿にされた主婦の小さな反乱を描いた「パンドラの箱」を収録。
家庭内に隠された問題を描いたショッキングな一冊です。
女の業火 娘婿とできた母 のネタバレ
優子は従妹の松江(60歳)とは絶縁していた。
松江は60歳だが
真っ赤なストールを羽織り、若作りの化粧をしている。
肩にかけている弁当は
娘婿に届けるためのものだった。
松江はその街では
“噂の鬼畜ババア”
だった。
松江の人生の若いころは幸せではなかった。
松江の家は本家だが
男が生まれなかったため松恵は婿を迎える。
お見合いの結果
誠という誠実そうな男性と結婚することになる。
しかし
誠は昼間から飲んだくれて仕事をせずに、
注意する松江に暴力を振るっていた。
結婚生活に愛はなかった。
世間体のため離婚はできなかった。
結婚から12年後に誠は結核で亡くなる。
松江には9歳の息子と
6歳の娘がいた。
息子は本当は双子のはずだったが、
出産時に亡くなっていた。
松江は26歳の出産で息子を一人亡くし、
36歳で夫を亡くしていた。
息子の正は
“大きくなってお母さんを守る”
と言っていた。
同じ年に
母親が交通事故でなくなってしまう。
松江の家は
“呪われている”
と世間で噂が立つようになる。
松江は昼も夜も
家事と育児をしながら働いていた。
家の農業以外にも
外で仕事をしていた。
息子の正は松江に似たためか、
精力的な努力家で成績も優秀だった。
松江は正を可愛がっていた。
娘の玲子は父に似たため
大人しくてなまけ癖がついていた。
ある日
息子の正が白血病と診断されて12歳で死んでしまう。
松江はショックを受けてふさぎ込んで寝込んでしまう。
娘の玲子は女の子だが
料理も洗濯もできなかった。
松江にそのことを指摘されたため、
松江に料理を作ってあげようとするが上手くできない。
料理に失敗して指を切り血を流している玲子を見て、
松江は
“もうこの家には自分と礼子しかいない”
と思い玲子には幸せになってほしいという。
玲子は中学、高校に問題なく進学する。
松江はその間に何人もの男と付き合っていた。
松江は昔から妙な色気があったため、
男性人はモテていた。
しかし
どの男性も年増で子持ちの松江に本気ではなかった。
松江は
“夢を見ることさえ許されないの?幸せになりたい”
と思っていた。
松江が54歳の時に
25歳の玲子へのお見合いの話がやってくる。
お見合いの相手は27歳の警察官だった。
お見合いに行くと
玲子は大人しくしていて松江ばかりが相手の健二と話していた。
玲子は
“お母さんのお見合いじゃないのに”
と怒っていたが
玲子と健二は結婚することになる。
健二は松江と玲子の家で同居することになる。
健二と松江は仲が良く
玲子は面白くなさそうにしている。
それでも
玲子と健二の間には26歳で長男が、
29歳の時には長女が生まれる。
玲子は子育てしかしていないが、
上手くできなかったため健二に八つ当たりで暴力を振るっていた。
仕方なく
子供二人の面倒は松江が見ることになるう。
子供二人は松江のことを
“大きい母さん”
と言って懐いている。
松江は
“自分が子育てしていたときは、家事や農業もしていた”
というが
玲子はまったく反省していない様子。
玲子は部屋に閉じこもりゴロゴロするようになっていたが、
松江、健二、子供二人の関係は良好だった。
健二は松江に仕事や玲子の愚痴を聞いてもらううちに、
松江に惹かれていく。
松江も健二の視線に気付いていた。
松江は玲子に
“うつ病だから医者で見てもらおう”
というと
玲子は
“原因はお母さんだ、お母さんが健二を取ったからだ”
という。
玲子はさらに
“健二は最初からお母さんが好きだったんだ”
といって話にならない。
松江は
“健二が私を好き”
ということに確信を持ち嬉しくなる。
ある晩
健二は松江に迫り、二人は関係を持つ。
そのことを玲子に感づかれてしまう。
健二は玲子の目を盗むため
夜勤中に松江を呼び出して逢っていた。
その様子を同僚に目撃されてしまう。
玲子は
“恥知らず”
と松江を罵倒するが、
松江はしらばっくれる。
3日後
玲子は山中の車の中で死体で発見される。
車のガスを引きこんでの自殺で、
遺書は無かった。
変わりに
玲子、健二、松江の三人で撮った写真があった。
写真の健二と松江には沢山の針穴があった。
健二と松恵は
“玲子からの復讐”
と理解して青ざめる。
松江は子供3人全員を亡くしてしまう。
世間では
松江と健二の噂は知れ渡っていた。
健二の父親が土地を離れて再婚を勧めるが、
健二は松江と一緒に暮らすことを選択する。
健二は松江に
“地獄に堕ちるのは一緒”
という。
松江は近所の評判は悪く嫌がらせを受けているが、
子供たちは幸せそうで健二との仲も良かった。
松江が年齢に不相応な格好をしているのは、
“少しでも健二と釣り合うように”
と思ってのことだった。
従妹の優子は松江と絶縁していたが
“いつまで悪あがきが続くか見届けよう”
と思っている。
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幸せの天秤 のネタバレ
太一とユカは結婚が決まり、
ユカは太一の母親に挨拶に行く。
太一の母親の道代はパンチパーマで豪快な人で、
ユカを快く迎える。
ボロアパートに住んでいたが、
旦那が交通事故で死なせてしまった遺族には毎月5万の仕送りをしていいるという。
太一は道代と仲が良く
ユカもすぐに道代と打ち解ける。
道代は太一が好きな
肉の代わりにチクワが入っているカレーでもてなす。
その後
太一とユカは予定通り籍を入れる。
入籍後には
道代の部屋によく食事をしに行っていた。
ある日
太一に伯父から電話が入る。
道代の兄で
道代と兄の仲は良くなかった。
道代は兄の嫁のせいだと言っている。
道代と太一の伯父たちはほぼ絶縁状態だったが、
太一は内緒で伯父たちに会っていた。
太一の伯父は感じのいい人で、
太一のことを昔から可愛がっていた。
道代の義姉の家は金持ちだが、
兄と義姉には子供がいなかった。
太一の伯父たちは茨城でレストランを3軒経営していた。
太一は伯父に食事に誘われたため、
ユカと一緒に行くことにする。
伯父たちは太一を養子にしたいと提案する。
伯父たちには子供がいなかったため、
ずっと悩んでいたのだという。
伯父たちの条件は
会社を辞めて茨城に引っ越して生活費は全て出すというものだった。
1~2年は修行で世界の美味しいものを食べて下を肥やしてもらい、
レストランの経営を学んでもらいたいという。
伯父はユカにも友好的だったが、
叔母はユカの経歴などに文句を言い出す。
ユカの経歴は調査済みだった様子で、
資料を持ち出しケチをつける。
太一も
“失礼じゃないですか”
というが
叔母は
“ウチに来れば若い子がよりどりみどりよ”
という。
伯父は冗談だというが、
叔母は本気の様子。
すぐに答えを出さなくてもいいので、
考えてくれと叔父は言う。
食事会の終了後
ユカは叔母に怒っていたが太一は伯父の養子になることを決断する。
ユカは実家に相談に行くと
ユカの旦那の太一が金持ちの家の養子になるので姉弟も両親も喜んでいた。
太一の母の道代は怒っていた。
実の母の自分に何も言わないで大事な話を持ってきた伯父に怒りを露わにする。
道代は怒っているが
太一は
“金持ちになりたい”
といって既に決めている様子。
太一とユカは伯父の茨城の家に引っ越す。
家は豪邸だった。
何故か見知らぬ若い女性がいた。
叔母はその女性を太一に紹介する。
女性は早苗といって花嫁修業中なのだという。
食事の時間になるが
ユカの分が用意されていなかった。
ユカは腹を立てるが
アパートは引き払っており帰れなかった。
その後も叔母と早苗はユカに嫌がらせを続ける。
ユカの妊娠が発覚すると、
早苗はユカを階段から突き落とし強引に流産させようとする。
ユカは身の危険を感じ東京の実家へ避難する。
実家は両親が年金暮らしのため、
長く厄介になるわけにはいかなかった。
道代を頼ると
道代はユカを歓迎する。
ユカの話を聞くと
道代は義姉に対して腹を立てる。
ユカは
“子供が生まれたら変わるかも”
と期待しているが
道代は
“あの女を殺すしかない”
と笑っている。
ユカは道代に会いに行くと元気を貰えたため、
良く遊びに行くようになる。
太一は茨城の伯父の家で仕事を覚えていた。
半年ぶりにユカと太一は会って食事をする。
太一は地元の新聞に
“フードコーディネーター”
として紹介されて有名になっているのだという。
ユカは早苗との関係を疑うが、
太一は早苗に興味がないという。
太一は高級店で食べたカレーが上手かったという。
ユカは
“一番おいしいのはお母さんのチクワカレーじゃないの?”
というと
太一は
“あんなものを美味しいと思っていた俺って何なのかしら”
と恥ずかしそうにいう。
ユカは泣いて怒って
“くだらない人間になった”
といって帰ってしまう。
ユカに怒られて太一は自分を恥じていた。
ユカは離婚を考えて落ち込む。
道代に話をしに行くと
道代は意識を失って倒れていた。
慌てて救急車を呼んで搬送してもらうと、
脳王脈瘤と診断される。
太一と伯父もすぐに駆け付ける。
動揺する太一をユカが落ち着かせる。
その様子を見た伯父は
“ユカは太一にピッタリだ”
と思う。
道代は意識を取り戻し
太一は泣いて喜ぶ。
太一の様子を見てユカは離婚しないことにする。
伯父は叔母との話し合いで
ユカの要望通り茨城の市街地に部屋を借りることができる。
道代はリハビリの末回復していった。
ユカは無事に
男の子を生むことができる。
名前は広夢で家族全員に祝福される。
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パンドラの箱 のネタバレ
サトミは38歳で専業主婦をしている。
旦那の一戸建てで義母と一人息子と住んでいる。
安らげる場所は物置の中だけだった。
義母は一日中サトミを奴隷扱いしていた。
サトミは昔から“暗い”とよく虐められていた。
息子の尚也を大切に思っていたが、
尚也は義母を母だと思いサトミをお手伝いさんだと思い込んでいた。
そうさせたのは義母で
サトミに家事全般を任せて、
子育ては義母が全て行っていた。
尚也は義母を“ママ”とよび
サトミのことは“サトミさん”と呼んでいる。
尚也は幼稚園に通わせていないため、
運動不足でどんどん太っていた。
サトミはそのことを指摘するが、
義母は尚也を甘やかして育てていた。
旦那とはお見合いで結婚した。
それまではサトミはお見合い全敗だったが、
旦那の和男はサトミの大人しさを気に入った様子だった。
和男はサトミに
“従順そうなところが気に入りました”
というと
サトミは勘違いして喜び結婚を決断してしまう。
結婚生活が始まると
和男のマザコンが明らかとなる。
尚也が生まれてすぐに義母に取られてしまう。
和男への愛情も当然無かった。
義母は尚也を使ってサトミに嫌がらせを繰り返していた。
サトミは悔しくて物置で落ち込んでいた。
義母がサトミが中にいることを知らずに、
物置に鍵をかける。
サトミはパニックになり騒ぎ立てる。
近所の人の指摘で
義母は物置を開けるとサトミが出てくる。
近所の人たちは義母のサトミに対する扱いを察して
“ここの親子昔から感じわるかった”
と義母に聞こえるように噂している。
義母は
“ちがいます”
というと血圧が上がったせいか倒れてしまう。
和男は義母に付き添って救急車に乗り込む。
サトミは
“こんなチャンスは二度とない”
と思い
尚也を連れて飛行機で九州の実家に帰る。
実家には弟夫婦が両親と住んでいたが、
サトミと尚也を歓迎してくれる。
尚也は弟夫婦の子供たちと仲良さそうに遊んでいる。
現在は離婚調停中で
義母は一命はとりとめたものの入院中だという。
サトミは尚也とともに九州で暮らしていくことにする。
尚也は外で遊ぶようになり
痩せて健康的になっていた。
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女の業火 娘婿とできた母 の感想
「女の業火~娘婿とできた母~」はタイトルの印象とは全く違ういい話でした。
タイトルと優子のモノローグから、
“松江は実の娘の夫を奪ったなんてどんなクズ女なんだろう”
とワクワクしていました。
しかし
読んでみて松江の印象はかなり変わりました。
私が読んだ限りでは、
松江にはまったく非が無いと思います。
運が悪かったのは
ダメ夫をお見合いの結果で引いてしまったことですね。
“お見合い”
という超レア排出率がかなり低い勝負を、
松江は見事に負けてカスを掴んでしまいます。
娘の玲子がダメ人間だったのも、
夫の遺伝子で間違いないでしょうね。
松江は一人の女性として
精一杯生きて幸せを掴もうとしています。
その結果として玲子は自殺を選択してしまうのですが、
玲子の自殺は玲子自身の責任です。
いかなる理由があっても、
小さい子供二人が元気に生きているのに自殺とか無責任すぎます。
松江の様子だと
健二と子供たちとの仲は問題なさそうです。
懸念事項は世間の目でしょうか…
“娘婿を寝取って娘を自殺に追いやったのは許せない”
というのが世間の総意でしょう。
実情を知ってたとしても
世間は面白可笑しい噂を立てる方を選択するでしょうね。
優子の期待とは裏腹に
松江たちには幸せになってほしいと思いました。
「幸せの天秤」は贅沢な悩みですね。
金持ちにしかわからない悩みもあるようです。
太一は本当にどうしようもない男ですね。
自分の実力は全くないのに
“フードコーディネーター”
の肩書をもらい悦に入っています。
こういった何の実績もない人が、
困っているレストランのコンサルを平気で請け負って滅茶苦茶にしてしまうのかもしれません。
ユカたちは最後幸せそうにしていますが、
会社の経営を太一に任せたら潰れるのは時間の問題な気がします。
人間分相応が一番ですね。
「パンドラの箱」はちょっと立場を変えると面白いものが見えてきます。
尚也は非常に劣悪な環境で育っていました。
サトミの尚也を連れ出すという決断は間違いなく正しいものでしょう。
「ハーグ条約」
というものが世界にはあります。
日本もコレに加入しています。
これは国内では適応されないのですが、
国際結婚の際に有効になります。
※今回のケースでは不適用です。
国際結婚で結婚生活が破綻した場合に、
父か母のどちらかが自分の国に子供を連れて行ってしまうそうです。
「ハーグ条約」をざっくり説明すると、
その子供を強制的に元いた国に連れ戻すという条約です。
“子の利益を守る”
というのが「ハーグ条約」の名目です。
日本以外にも世界の沢山の国がこの条約に加盟しています。
今回のケースは国内のことなので無関係ですが、
“子供の利益”
って難しいですよね。
このケースは九州に連れていくのが
“子供の利益”
で間違いないと思います。
ですが
「ハーグ条約」の国内版のようなモノができてしまった場合、
尚也は義母と父の家に強制送還される恐れがあります。
客観的に
“子供の利益”
を判断するのは難しいですよね。
尚也は義母も父も嫌っているわけではありません。
むしろ
サトミをお手伝いさんだと思い込んでいて、
“お手伝いさんに誘拐された”
と言うかもしれません。
“国内版ハーグ条約”
がもしもできてしまったらと考えると、
尚也は救えなかったかもしれません。
考察をを膨らませすぎて落としどころを見失ってしまいました…
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