イグアナの娘(漫画) のネタバレ！

イグアナの娘(漫画の単行本) について
無料で読む方法、あらすじとネタバレ、感想を紹介します！

以下の短編が収録されています。
・イグアナの娘
・帰ってくる子
・カタルシス
・午後の日射し
・学校へ行くクスリ
・友人Ｋ

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イグアナの娘(漫画の単行本) とは？

出版社：小学館
発売日：2000/11/16
作者　：萩尾望都

その日、生まれてきたのはとても可愛い女の子だった。

だけどなぜか母親の目には、その子の姿がイグアナに見える…。

母と娘の間に横たわる愛と憎しみの葛藤を描いた表題作ほか、両親にスポイルされた少年が人生をみつけるために戻らなければならなかった場所「カタルシス」、アバンチュールへの一瞬の迷い「午後の日射し」、コミックス未収録の短編「帰ってくる子」など６編の異色傑作集。

※以下はwikiより引用
醜形恐怖症と親子の確執（毒親による問題）を題材とした作品であり、娘を愛することができない母親と母から愛されない娘、両者の苦悩についてファンタジーの要素を織り込んで描いた。

1996年には菅野美穂主演でテレビドラマ化され好評を博す。

イグアナの娘のネタバレ

青島家に長女が生まれる。

看護師は
“元気な女の子の赤ちゃんですよ”
と母に見せるが、
母は赤ちゃんを見ると悲鳴をあげる。

母には赤ちゃんがイグアナの姿に見えていた。

赤ちゃんはリカと名付けられる。

家で子育てしている際も
母にはリカがイグアナに見えていた。

父はリカを可愛がっていたが、
母にはイグアナにしか見えなかった。

父は
“マタニティブルーか？”
と深刻に考えてはいない様子。

次女のマミが生まれると、
母には普通の人間の赤ちゃんに見えた。

母はあからさまにマミだけを可愛がる。

リカとマミが幼稚園で覚えた歌を歌っていると、
母はマミだけを褒めてリカに
“つぶれたトカゲみたいな声”
という。

マミも
“おねーちゃんトカゲ”
というと
リカはマミを小突く。

母はリカを叱るとリカは逃げる。

七五三の写真でリカとマミが写っているが、
母にはリカが可愛い女の子の姿に見える。

母は
“写真には人間に写る”
と不思議に思っていた。

“周りの人にはこう見えるのに、自分にはあの子の本性が見えるのかｋ？”
とさらにリカを嫌うことになる。

父に対してリカの容姿を
“ガラパゴスのイグアナよ”
と嘆くと
ドアの外でリカは聞いていた。

リカがこっそり化粧していると、
母は
“ブサイクなくせに化粧なんて”
と怒る。

リカは
“あたしイグアナだからみにくいの？”
というと
母は
“イグアナなんて二度といっちゃいけません”
と注意する。

母の影響で妹のマミもリカを馬鹿にするようになる。

リカは運動神経が良く、
男子に交じって野球チームに入って活躍する。

母は女の子らしいマミを一層可愛がるようになる。

リカの野球の応援に来ていたマミが、
リカの打った打球で怪我をしてしまう。

リカに過失は無かったが、
リカは親に野球を辞めさせられてしまう。

仲のいい友達の男子がリカの母に直談判するが無駄だった。

母は男子と仲がいいリカに
“小学生のくせにませちゃって”
と思い嫌悪する。

家庭訪問でリカのＩＱが学校で一番であることを母は知り
“イグアナのくせに生意気”
と思う。

母の誕生日のプレゼントに、
マミはハンカチをプレゼントすると母は喜ぶ。

リカは高得点のテストを母に見せる。

母は喜ばずに
“どうして全部100点じゃないの！”
と叱り
“ＩＱがいいからっていい気になっている”
という。

リカは翌日に手鏡を買ってプレゼントするが、
母は受け取らず
“ムダ使いばかりして”
と怒る。

リカは
“マミばかり可愛がって、私がイグアナだからママは私が嫌いなんだ”
と泣きだすが
母は
“二度とイグアナなんていうんじゃない”
と怒る。

マミは理不尽な理由で怒られているリカを気の毒に思う。

リカは母へのプレゼントの手鏡を川に投げ捨ててしまう。

リカは
“どうしてイグアナに生まれたの？”
と考える。

神様が魂と体を入れ違えたのだと思い、
大人になったらガラパゴス諸島にいって本当の両親に会いに行こうと思う。

リカは母親以外の人間には美人に見えていた。

マミの彼氏はリカを見て
“美人”
という。

リカは一流大学に現役合格していた。

マミはリカと同じ大学に行こうとするが、
教師に２ランクほど下げる必要性を諭される。

マミはリカに
“お姉ちゃんて本当は頭良かったの？”
といって母から刷り込まれたリカへの印象を改める。

マミは今まで馬鹿にしていてすまなそうにしているが、
リカは
“ママがそういってたものね”
と気にしていない様子。

リカは
“ママのいうようにイグアナ”
と自虐する。

リカは
“人間の中で一匹のイグアナとして生きていく”
という。

リカは大学を
“いろんな動物の集まりみたい”
と思いあう人たちを動物にたとえて見るようにする。

同じゼミのシズオはリカに好意を持っていて、
リカにはシズオに羊のような印象を持つ。

リカとシズオは付き合いだすが、
リカは夜に夢でイグアナの自分が羊のシズオを食べてしまう。

飛び起きて
“シズオ君を食べちゃう、私はイグアナだった”
とシズオと別れる。

リカが沈んで歩いていると
牛のような大柄な男とぶつかる。

男はカズヒコといって
リカは牛の印象を持つ。

カズヒコは３浪してだらしなかったが、
リカは行為を抱く。

リカはシズオの時のような夢を見るが、
大きな牛のカズヒコはイグアナのリカにかじられても意に介していなかった。

リカは
“この牛はだいじょうぶ”
と思い大学卒業と同時に結婚する。

リカはカズヒコの実家の新潟で暮らすことになる。

母は
“３浪もした男なんて信用できない”
とケチをつけていた。

札幌での結婚生活は幸せだった。

赤ちゃんが生まれると
リカはイグアナか牛が生まれると思っていたが人間の子だった。

リカは赤ちゃんを見て
“どことなく母に似ている”
と青ざめる。

“自分が怖い、全然愛情が湧かない”
とリカは泣いている。

カズヒコはあまり心配していない様子。

深夜にマミから緊急の電話が来る。

母が急性心不全で死んでしまったというものだった。

リカは赤ちゃんを義母たちに預けて、
すぐに実家に帰ることにする。

飛行機の中でリカは
“ホッとしてる、ちっとも悲しくない”
と思う。

「悲しくないこと」がショックだった。

実家について母の遺体と対面する。

母の顔には布がかけられていた。

リカは布をとって母の顔を見ると、
母の顔は自分と全く同じイグアナだった。

リカは驚いて悲鳴をあげる。

リカが
“私にそっくりよ！”
というと
伯母は
“そうよ
　前からいってたのよ
　いうと怒ってたけど
　やっぱり似てるよね”
とこたえる。

リカは人間としての自分の姿と、
母がそっくりだったことを知る。

リカは夢を見る。

リカはガラパゴス諸島のイグアナの姫だった。

人間に恋したことにより、
魔法使いに頼んで人間にしてもらう。

魔法使いのおかげで
人間の母の元にイグアナとして生まれてくる。

リカは自分が子供を産んだことにより、
イグアナを産んで愛せなくて苦しかった母の苦悩を理解する。

リカの母に対する複雑な思いは浄化されて、
リカは母の死を悲しみ涙を流す。

新潟に帰ると
リカは自分の子供をかわいがることができるようになる。

リカは母の死で流した涙により、
自分の苦しみが流れたのだと思う。

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醜形恐怖症とは？

身体醜形障害あるいは醜形恐怖症とは、極度の低い自己価値感に関連して、自分の身体や美醜に極度にこだわる症状である。

実際よりも低い自己の身体的なイメージが原因である。

俗に醜形恐怖また醜貌恐怖とも呼ばれる。

『精神障害の診断と統計マニュアル』第5版のDSM-5では強迫性障害関連症群（スペクトラム）に含まれる。

その強い強迫観念から身体醜形障害はうつ病を併発する割合もかなり高いとされる。

人口有病率は、0.5-0.7%ほど。

BDDのハイリスク層には、うつ病、社会恐怖、アルコール乱用、薬物乱用、強迫性障害、摂食障害などの罹患者が挙げられる。

作品の背景は？

作者は2歳で絵を描き、4歳で漫画や本を読み始めたが、母親が「漫画は頭の悪い子が読むもの」と叱るので、漫画を読むのも描くのも親に隠れて行っていた。

作者は母親にいつも「勉強しろ」と追いたてられ、成績の悪い子とは付き合うなとか、教科書以外の本は読んではいけないとか、また姉や妹と比較されては四六時中怒られていた。

成績の良くなかった作者はそれで家にいるのがつらく、また競争もいやで、漫画家になろうと思ったのも競争しないですむと思ったからということもある。

漫画家になり上京して独立住まいをするようになってからも、母親に対する反発は心の中に無意識にくすぶり続けた。

作者は「最初は自分では気づかなかったのだけど、デビューして2年目ぐらいに『あなたの作品って、いつもお母さんがいなかったり、死んだりするのね』って言われて、『あれそうなのかな？』って。

それで、母親を登場させたくない自分の内面心理について振り返り始めたりしました。」と語っている。

その後、1977年に定年になった父親を代表として会社を作ったが、両親との不和が高じて大げんかし、2年後に会社をつぶす。

親との関係を見つめるため心理学を勉強し始め、内なる親から解き放たれるために、1980年に親殺しをテーマにした『メッシュ』の連載を開始し、その流れを引き継ぎ、厳格だった母親との対立を基にして1992年に描いたのが本作品である。

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帰ってくる子のネタバレ

小学生のユウは事故で亡くなっていた。

しかし
母はまだユウが生きているかのようにユウに対して話しかけている。

心の病ではなく寂しさを紛らわせるためにそうしている様子。

中学生のヒデと父は母にあわせている。

ユウが死んで３年が経つ。

母は
“ユーレイでもユウがいてくれたほうがいい”
といっている。

母は荷物の整理をしている間も、
ユウのことを思い出しては泣いていた。

ヒデは勉強と部活で忙しくしている。

ある日
母が足をひねって病院に運ばれる。

父は病院に行くが
ヒデも
“行きたい”
というと
父は
“中一にもなって甘えて”
と留守番になる。

ヒデは祖母の家に行っていた。

父が迎えに行くと布団の中で拗ねている。

父は拗ねていることを指摘して
“中一にもなって、お兄ちゃんだろ”
というと
ヒデは布団から出てきて
“僕が死んだ方が良かっただろ”
という。

ユウが踏切で死亡した時に
コウはすぐ近くにいた。

父は
“そんなこと考えてたのか、バカだな”
といって
ヒデの頭を乱暴に撫でる。

ヒデは家に帰ると
ユウが家に入っていくのを見かける。

慌てて家に入りそのことを母に報告すると
母は
“もういいの”
という。

母は
“もうユウにさよならを言う”
といって
生きているヒデを大切にすると言ってヒデを抱きしめる。

それ以来
ユウはヒデを見ていない。

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カタルシスのネタバレ

ユウジは浪人をしている。

一人っ子のため
母はユウジに過干渉気味だった。

父はそんな母を注意できないでいた。

ユウジは浪人だが勉強に集中できず、
行きつけの喫茶店のマスターの部屋に泊まりに行っていた。

母が無理やり連れだすと
ユウジはその場では
“ごめんなさい”
と謝る。

ユウジは母に反論することを諦めている様子。

母は喫茶店のマスターに
“今度来ても追い返してください”
と頼む。

ユウジはすぐにマスターの元へ行くが
“お前の家での手助けはしない”
とまっとうなことを言われてしまう。

両親はタクシーでユウジを迎えに来てユウジを叱るが、
ユウジはうつむいて
“ごめんなさい”
というだけだった。

一カ月後
ユウジが３日家に帰らないため両親は警察に捜索願を出す。

帰ってきたユウジを問い詰めると
“電車のって海みてそれだけ…”
と俯いて応えるだけだった。

大学で心理学を学んでいる親戚のトモが、
ユウジの両親に頼まれてユウジの話を聞きに来る。

ユウジとは喫茶店で待ち合わせる。

マスターは
“ユウは遁走期だ”
と説明する。

悩む代わりに逃げているのだというと、
ユウは
“どこにも行くところは無い”
という。

両親は
“五月病”
と思っていたが
既に浪人一年目の７月に入っている。

ユウとトモは話していると、
ユウはトモの部屋に泊まりたいというので泊めてあげる。

ユウの部屋で話を聞いていると
“ヒトミ”
という同じクラスだった女子の話になる。

ヒトミとユウは同じ大学を目指して、
一緒に勉強をしていた。

トモはユウがその子を好きなのだと指摘すると、
ユウは
“トモもおふくろと変わらない”
と言って怒って寝てしまう。

翌日
母がトモのえ部屋に迎えに来ると、
ユウは怒ってどこかに行ってしまう。

トモが母に“ヒトミ”のことを話すと、
もう半年前に亡くなったのだという。

両親はヒトミのことはあまり気にせず
“学生は勉強しなきゃ”
といっていた。

トモはマスターにユウのことを相談に行と、
ユウがやってきてマスターに
“雇ってほしい”
と懇願する。

マスターは
“親がいいって言ったら置いてやる”
という。

トモは一緒に両親に頼んであげるとユウにいうと、
ユウは
“両親がぼくのいう事なんか聞くもんか”
と本心を話し出す。

ヒトミは大学受験の一週間前に急死していた。

二人はいい勉強仲間だった。

ユウはヒトミの葬式に行きたがったが、
母が行かなくていいといったため行かなかった。

その後
ヒトミの仲のいい友人に、
ヒトミはユウのことが好きだったことを告げられる。

ユウは
“ヒトミにさよならをいっていない”
とそれ以来前に進むことができなくなっていた。

トモはユウが両親とちゃんと話せるように場を設ける。

ユウは今まで言えなかった本心を両親の前でハッキリ話す。

“僕はもうロボットは嫌だ、ヒトミの葬式にも行けない人生なんて意味がない”
というと
母は
“お前が行かないって言ったのよ”
という。

ユウは母はいつも都合の悪いことは忘れると指摘する。

父もユウとの約束を守ったためしがなく、いつも母に罪を被せると指摘する。

ユウの本音を聞いた母は
“こんなのユウじゃない、一生お前を許さない”
と激高して気を失う。

夏が終わるころ
ユウは安アパートに引っ越してマスターの店で働いている。

母は小さな宗教団体に入って、
ユウが戻るように祈っているのだという。

トモは喫茶店で働いているユウをみて
“明るくなった”
と思う。

ユウはトモとマスターの仲を取り持っている。

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イグアナの娘(漫画の単行本) の感想

「イグアナの娘」は意外性抜群な話でした。

広告で見かけた際は
“ギャグかな？”
と思ったのですが全くの別物でした。

“毒親”や“同族嫌悪”がテーマのかなり繊細なビューマンドラマでした。

序盤でリカが健気に母を慕うシーンが辛すぎますね。

リカは母に対してまっすぐな愛情を表現しているのに、
母親はあからさまな嫌悪感を見せています。

リカはずっと母を慕っていたのでしたが、
誕生日プレゼントを拒否されたときに母を見限ったようです。

ここまでされたら普通はグレますね。

シリアスな話の中にもギャグがあるのでいい感じでバランスがとれています。

大学でリカの恋愛シーンが面白いです。

最初の彼氏を夢の中で食べてしまうのですが、
次の彼氏は大きすぎて食べる事が出来ません。

コミカルに描かれていますが、
“イグアナ”
としてのリカにとって
“食べられないくらい大きい”
というのがいかに大切かがわかるシーンでした。

山場となるシーンのインパクトも凄かったです。

死んだ母の顔を見るとイグアナというのは、
リアルであったら間違いなく一生トラウマでしょうね。

オチとしては
“母親は自分とそっくりだからリカを嫌っていた”
ということかもしれません。

“同族嫌悪”は
「自分自身の嫌いな部分を相手が見せることによって生じる」
そうです。

母親はリカを通して自分の嫌なところを見ていたのかもしれません。

自分の嫌なところと向き合う強さを持ってなかったため、
リカと正面から向き合うことを拒否していたのでしょうね。

リカの母から受けた苦しみは、
涙によって浄化されました。

母の“リカを愛せなかった”という苦しみは、
結局最後まで凝り固まってしまっています。

“めでたしめでたし”
とは言えないためか、
印象に残るラストシーンですね。

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